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備えあれば憂いなし!大家さんが家族信託を検討すべき理由と費用

「もし自分が認知症になったら、このアパートの経営はどうなるのだろう?」そんな不安を感じたことはありませんか。実は、何の備えもないまま判断能力が低下すると、賃貸契約や修繕、売却など全ての経営判断がストップしてしまいます。こうしたリスクを回避し、大切な資産を次世代へつなぐための有力な手段が「家族信託」です。本記事では、賃貸オーナーが知っておくべき家族信託の仕組みとメリット、注意点をわかりやすく解説します。

なぜ今、賃貸オーナーに家族信託が必要なのか?

賃貸経営には、常に「意思決定」が求められるからです。

1. 認知症になると「経営」が凍結される

認知症などで判断能力が不十分とみなされると、法的な契約行為ができなくなります。具体的には、新しい入居者との賃貸借契約の締結、大規模修繕の契約、さらには物件の売却や組み換えも困難になります。

2. 成年後見制度との違い

認知症対策としては「成年後見制度」もありますが、賃貸オーナーにとっては使いにくい側面があります。

  • 柔軟な運用が難しい: 後見制度の目的は「本人の財産保護」です。そのため、積極的な資産運用や、相続税対策のための大規模な投資(建て替えなど)は認められないケースがほとんどです。

  • ランニングコスト: 外部の専門家が後見人に選任された場合、月額2万円〜6万円程度の報酬が、本人が亡くなるまで一生涯続きます。10年続けば240万円〜720万円という大きな負担になります。

一方、家族信託は初期費用こそかかりますが、家族が管理するため、月々の報酬を抑えることができ、オーナーの意向に沿った柔軟な経営管理が可能です。

家族信託の仕組みと登場人物

家族信託を理解するために、3つの役割を覚えましょう。

  1. 委託者(いたくしゃ): 財産を預ける人(例:大家さん本人)

  2. 受託者(じゅたくしゃ): 財産を預かって管理する人(例:お子さん)

  3. 受益者(じゅえきしゃ): 財産から出る利益を受け取る人(例:大家さん本人)

多くの場合、大家さん本人が「委託者」と「受益者」を兼ねるため、管理の権限は子供に移しても、家賃収入は今まで通り大家さん本人のものとなります。生活スタイルを変えずに、将来の安心だけを手に入れられるのが特徴です。

家族信託にかかる費用の目安

家族信託を始めるには、大きく分けて以下の3つの費用がかかります。

  1. コンサルティング・契約書作成費用: 専門家(司法書士や行政書士など)への報酬です。財産の額によりますが、数十万円〜が目安です。

  2. 公正証書作成費用: 公証役場に支払う手数料です。

  3. 登録免許税(不動産がある場合): 名義を変更する際にかかる税金です。土地は固定資産税評価額の0.3%、建物は0.4%となります。

初期費用はまとまってかかりますが、前述した「成年後見制度」のランニングコストと比較すると、長期的な視点では家族信託の方が経済的なメリットが大きい場合が多いと言えます。

家族信託で気をつけるべき「3つの注意点」

非常に便利な制度ですが、万能ではありません。

1. すべての財産を信託できるわけではない

例えば「年金を受け取る権利」は信託できません。また「農地」などは手続きが非常に複雑です。どの財産を信託し、どの財産を手元に残すかの交通整理が必要です。

2. 専門的な知識を持つ相談先がまだ少ない

家族信託は比較的新しい制度のため、精通している専門家が限られています。契約書の文言一つで税務上の扱いや将来の柔軟性が変わってしまうため、実績のあるパートナー選びが重要です。

3. 家族間の合意が不可欠

特定の子供に管理を任せる場合、他の兄弟姉妹に不公平感が出ないよう、家族会議などでしっかり話し合っておくことが、将来の「争族」を防ぐポイントです。

結論:家族信託は「賃貸経営のバトン」を事前に渡す仕組み

家族信託とは、一言で言えば「元気なうちに、信頼できる家族に財産の管理権を託す契約」のことです。

賃貸オーナーにとって、所有権は「管理する権利」と「収益を受け取る権利」のセットです。家族信託を利用すると、このうち「管理する権利」だけを子供などの家族(受託者)に移すことができます。これにより、オーナー自身(委託者兼受益者)が将来、認知症などで判断能力が不十分になったとしても、受託者である家族がオーナーに代わって、滞りなく賃貸経営を継続できるようになります。

Q&A(よくある質問)

Q1:家族信託を始めたら、もう自分では何も決められないのですか? A1: いいえ、そんなことはありません。受託者であるご家族と相談しながら経営方針を決めることができます。あくまで「もしもの時」に備えて、法的な権限を整理しておくものと考えてください。

Q2:認知症になってからでも家族信託は契約できますか? A2: 残念ながら、判断能力が低下した後では契約を結ぶことができません。その場合は「成年後見制度」を利用することになりますが、自由な資産運用は難しくなります。お元気なうち、つまり「今」が検討のベストタイミングです。

まとめ

  1. 家族信託は、元気なうちに将来の不安に備えるための強力なツールです 。ただし、契約内容の一言で効果が変わることもあるため、検討の際は必ず専門家へご相談ください。
    ※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別事案については税理士、弁護士、司法書士等の専門家にご確認ください。

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代表の伊井勝則でございます。ご覧いただきありがとうございます。地元代々木歴60年です。代々木八幡、代々木公園、代々木上原周辺の素晴らしさをお届け致します。まずは、賃貸・売買専門スタッフに、お気軽にご相談下さい。

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